ご案内
タグ
最新のトラックバック
ライフログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
■ 白猫宮を登録 |
王への手紙 (上)
トンケ・ドラフト / 岩波書店 手ばなせない度 : ★★★★☆ 王への手紙 (下) 本書は、生まれたオランダで、出版された年に年間ベスト児童文学賞を受賞。さらにその賞の50周年に、過去50年の年間ベストからベストオブベストとして選ばれた。ということで、これは名作! じつに良かった。面白かった。 騎士になるための最後の試練の夜、16歳の見習い騎士ティウリは、見知らぬ男に重要な手紙を託された。思いがけない使命を与えられ、大山脈のかなたの隣国へと向かったティウリの行く手には……。 この導入部のあらすじを読めば分かるように、見事なまでに典型的な「ゆきてかえりし物語」。王道そのもの。最初から最後まで奇をてらうことなく、少年の冒険の旅が丁寧に描かれる。 冒険。それはチャンバラのことではない。それは危険をおかしても自らが選んだ使命をまっとうしようとすることだ。楽な道を選ぶこともできる。しかしそれでは冒険にならず、物語られることはなく、少年は少年のまま何も変化しない。険しい道を進み、苦難を乗り越え少年は大人に変わる。そうすることでしか大人にはなれない。 そういう意味で、クライマックスの王の言葉「そなたは騎士の叙任は受けなかった。だが、自分が騎士であることを示したのだ。そなたは自分で自分を騎士にしたのだ」は、実にストンと胸に落ちついた。 当たり前といえば当たり前だが、自分が何者であるのか示せるのは自分のみ。誰かに肩書きをもらったところで実際の自分は変わりはしない。自分自身で自分を何者かにするほかないのだ。 と、真面目に考えさせられる面もあるけれど、そーいうのを抜きにしても、テンポの良い飽きさせない話運びで読ませます。挿絵も実にハイセンスで作品にピッタリなんだけど、驚いたことに作者自身の手によるもの! 元美術教師だそうで納得。 なおこの作品、主人公個人の問題はきちんと解決するのだけれど、いくつか回収されずじまいの伏線が存在します。で、それらは続編でもって語られることになるのですが……続編は蛇足というか、ハッキリ言っちゃうと私個人の感想としては駄作、でした。読んで得られるものより失うもののほうが多いように思えるのでお勧めしません。 しかし本作に関しては間違いなくまれに見る秀作ですので、心置きなく心からオススメ! by のぞみまつき |
by sironekonomiya
| 2007-01-14 23:55
| 本
| ▲
|
ファン申請 |
||